僕が演出する舞台「出発」の公演に、25歳以下の学生さんを無料でご招待します!
各回10名様限定です!
僕らの師匠、つかこうへいと言えば、70年代に現れてそれまでの日本の演劇を一変させた男と言われています。
日本の演劇史の中では「つか以前」「つか以後」という言葉があるほどです。
僕らはまさにその時代、つかさんが演劇界に衝撃を与えた70〜80年代のつかこうへい作品を上演し続けています。
そして今回「もっと、つかさんの作品を若い人たちにも楽しんで欲しいよね」という思い立ち、学生さん無料ご招待を企画しました!
今回の「出発」は、1974年初演…僕もまだ生まれていません。
「熱海殺人事件」で岸田國士戯曲賞を受賞した後、受賞後第一弾として文学座のアトリエ公演のために書き下ろした作品です。
本人は明言していませんが、菊池寛の短編戯曲「父帰る」を下敷きにしていると思われる作品で、
・ある日、突然失踪した父
・稼ぎ手を無くして、家族は貧しい暮らしを強いられるが、必死になって働き、支え合う。
・そんな中、事業に失敗して身を持ち崩した父親が帰ってくる。
・家族は迎え入れようとするが、父親の代わりに家族を支えた長男だけは、かたくなに拒絶する。
といった、基本的な構造をそのまま引き継いでいます。
しかし、そこはつかさん、単なる人情ばなしなどにはなりません!
家族は皆、これはチャンスとばかりに、いかにしてこの「家族の物語」の中で主人公になれるか…つまり「一番目立てるか」を競い合います。
昼も夜もなく働き、家族のために犠牲になる長男。
それを健気に支える嫁のお腹には、赤子の気配が…!?
母親は父の失踪は「自分のせいだ」と憔悴し、何もできない自分を恥じながら勉学に励む弟…。
そしてその姿を影から見る父…。
とっくに帰ってきていた父は、家族のあまりの気合いの入りように、家に入るに入れず、どうしたら「苦悩のあげく家を出たが、挫折して帰ってきた哀れな父」を演じられるかを悩むことになります。
つまり、むちゃくちゃな家族の、ムチャクチャな物語です。笑
もう少し言うと、これは「サザエさんのような平々凡々とした家族」が、いかにして「父に失踪された悲劇の一家」になれるかを競い合う物語です。
ナンセンスだけど、すごく笑えて、どこか切ない…。
つかこうへいの魅力が存分に詰まったこの作品を、ぜひ楽しみに来てください!